幻の六甲登山架空索道

六甲登山架空索道の遺構、4支柱を求める

~山中深くひっそりとその姿をとどめるロープウェイの痕跡を探す~

2021年4月13日

アイスロード入り口にある、六甲登山架空索道(ロープウェイ)の登山口駅の遺構周辺が整備され、その姿を誰もが見ることが出来るようになった。

それに便乗する訳ではないが、ロープウェイの架線を支えた4支柱基部も整備されないかと、淡い期待を抱いている。

2017年当時、第1支柱の痕跡はすでにアイスロードにあり、第2支柱の存在はMuscleturtleさんの記録にあった。しかし、他の支柱の情報は位置も含め全く存在しなかった。

そんななか苦労して位置を割り出し、実際にその存在を確認することが出来たのは本当に幸いだった。そして、2019年にも再調査を行い、改めて全容を把握することが出来た。

今回は、2回に渡る調査での考察から現地確認までの記録を更に推敲加筆し、近代建築遺産の資料になればとの思いがある。

参考及び出典のサイト。考察にあたっては多大なる情報を得ることが出来たので、この場を借りて御礼申し上げたい。また、詳しい歴史についても書かれているので、興味のある方はぜひ一読願いたい。


支柱基部の位置特定のための考察作業

※一部写真はクリックで拡大可

  • 登リ口駅1の写真から「第一支柱(7.9m)」が見えている。
  • アイスロード入って右手すぐの辺り。当時の賑わいがよくわかる。
  • 昭和10年の帝国陸地測量部の5万分の1地図。スタンフォード大にデジタル保存されている。六甲山架空索道(ロープウェイ)とある。等高線はやや曖昧な感じがする。
  • 昭和36年の航空写真。昭和19年に撤廃となってから17年後だが、樹木に道が見てとれる(赤点線加筆)。特に第2支柱があった辺りの切通しははっきりと確認できる。
  • 写真1:旧六甲山ホテルの前にあったテラス奥からの展望(日本郵船:六甲山上クラブあたり)。
  • 写真2:記念碑台からの展望。月見橋と山上駅はドライブウェイと接続していた。
  • 写真3:六甲山ホテルの案内イラスト。しっかりとロープウェイが描かれている。
  • 写真4:同じく六甲山ホテルの案内写真。ロープウェイのゴンドラと第4支柱が確認できる。View of Rokkosan Hotel.Terrace and Ropeway/六甲山ホテル、テラスとロープウェイの眺め
  • 第1支柱(7.9m):登山口駅からすぐのところにある支柱が見えている。
  • 第2支柱(7.3m):平らに開かれた切通しがはっきりとわかる。中央に天望山が見える。ゴンドラがすれ違うので中間地点付近になる。
  • 第3支柱(20.5m)巨大な支柱。その先に山上駅も見える。ゴンドラの上に作業中の人も確認できる。
  • 第4支柱(9.0m)写真-1では、斜面左下に支柱が見える。旧六甲山ホテル、六甲山郵便局も現在の位置のまま。右端に月見橋も確認できる。写真-2では、ゴンドラと支柱の位置関係がよくわかる。
©Rokkopelli

これらすべての情報から、断面図を作成し各支柱の位置を割り出していく。平面誤差は半径30mとした。

踏査を行う

※前述の通り、2回分の記録をまとめる形となり、写真など雰囲気が幾分違っているがご容赦ねがいたい。

新六甲大橋下交差点から表六甲ドライブウェイ(DW)を進み、100mでアイスロードの入り口となる。道なりに進んですぐ、六甲登山架空索道の登山口駅の遺構が見えてくる。

しばらく進むとDWをくぐるトンネルを通過する。その先、小さな谷を過ぎると石段の脇に写真の道標がある。

道標の先すぐ、第1支柱の基部が現れる。アイスロードでは誰もが知る遺構になっている。

  • 第1支柱基部(位置補正済み)
  • 標高 406m
  • UTMポイント 53SNU21014468

真水谷第四砂防ダムを越えていき、すぐに登山道を離れ堰堤内に降りていく。

浅瀬を徒渉後、この大岩を目印に取付いていく。目指す方角は北西方向、標高差100mをジグザグに登っていく。

堰堤工事の残置ワイヤーや石組みなどを見ながら、ざれた斜面を急登していく。

コメント

  1. 森地 一夫 より:

    私は、「祖父の見た六甲山」のホームページを公開している森地と申します。記事で当ホームページをご紹介いただき、ありがとうございます。
    さて、長年放置していた当ホームページですが、このたび整理のため古いサーバーから新しいサーバーに移行することにし、URLが変更になりました。
    新しい URL は https://morichi.jp/sofu_mita_rokko/ です。
    お手数ですが、リンクを修正していただければ幸いです。数か月後には古いサーバーは解約いたします。
    なお、内容も見直しましたが、六甲登山ロープウェイの記事はほとんど変えていません。
    以上、よろしくお願いいたします。

    • rokkopelli より:

      森地様
      わざわざのご連絡、本当にありがとうございます。また、稚拙な記事をご覧くださり大変恐縮しております。
      森地様の公開されている「祖父の見た六甲山」は、まさに六甲山の歴史を語るうえで無くてはならない第一級の生の情報であると、事あるごとに紹介しております。
      そして、新サーバーに移行して、さらに歴史の事実を保存紹介される取り組みには頭が下がる思いです。
      最近では、登山口駅周辺も整備が進み遺構として脚光を浴びるようになり、ますます「祖父の見た六甲山」のHPの重要性が増したと思います。
      登山を通して、自分の目で六甲山の歴史に触れられる機会が得られたことは、一生の財産だと思っております。
      今後とも、HPを参考にさせて頂きますので、どうぞよろしくお願いいたします。

      • 森地 一夫 より:

        早速のご対応、ありがとうございました。お手数をおかけしました。
        第1支柱は、アイスロードにあるので、すぐに分かるのですが、第2支柱以降は、なかなか探せないでおりました。
        発見していただいた rokkopelli さんのご尽力に感謝いたします。

        なお、「祖父の見た六甲山」のページは、移行の際に調整したものの内容は放置したままですが、それ以外の研究成果は別にまとめています。公開はしていませんが、ご興味がありましたら、メールをいただければ紹介できます。掲示板に URL を書いてしまうと公開状態になってしまいますので、お知らせはメールのみとさせていただきます。

        • rokkopelli より:

          森地様
          重ねての連絡、本当にありがとうございます。2~4支柱跡の場所は、ブログ内にてUTM座標で表示しておりますので、国土地理院の地図の場所検索にコピペしていただくと場所がすぐに分かります。都合が合えば、現地の案内も可能ですので遠慮なくお申し付けください。
          研究成果については、大変興味がありますので後ほど別途メールにて連絡をとらせていただたく存じます。