リノベーション奮闘記①

薪ストーブ

リノベーション奮闘記①

~現在進行形で続く、古民家再生への挑戦~

プロローグ

山仲間の知人が、丹波篠山に移住を決めたのが2022年の初めごろ。理想とする物件を探し回り、ようやく出会ったのが築60年近い平屋の古民家だった。知人曰く、できる限り自分たちでリノベーションをやりたいとの事で、22年の10月よりお手伝いをすることに。

もともと、木工が大好きなロッコペリ。無いものは自分で作るがモットーで、いろんな物を自作してきたこともあって、少しでも役に立つのならと引き受けることにした。

ただ、軽い気持ちではなく真剣にリノベーションに注力するということは、大好きな山はしばらくお休み、ブログも休眠という覚悟が必要だった。しばらく迷ったが、やるからには山同様に全力で取り組もうと決めた。

本来、ロッコペリのブログは山を中心としたものなので、リノベーションについては書く気はなかったが、別の山仲間から興味があるので是非とも公開をとの後押しがあったので、今回から紹介することにする。

解体との闘い

現状確認

リノベーションにあたって、まずやるべきはこの物件の現状を明確に把握にすることから始まる。

この物件は、幾度も増改築の跡がみられ古い建屋と新しい建屋が混在しているやっかいなものだった。これは素人目にもすぐに分かる。建屋内は小舞壁の土壁で暗く、台所の天井は手が届くほど低い。

趣味の悪い壁色の床の間であったり、縁側や奥の部屋の床は至るところが腐ってベコベコで穴あきの状態だ。おそらくシロアリに食い荒らされているだろう床下も要確認だ。全体に古民家臭がひどく、窓を開けても通気が悪いせいか空気がよどんでいるように感じる。天井に広がる奇妙なシミも、まるでホラーハウスの様相だ。

さらに、水回りは、山の水と水道が屋内に引かれており、台所に水栓が2本ある。お風呂は朽ちて入れそうもなく、トイレというより便所は外の小屋にある汲み取り式のものだ。何年も使っていない便槽は干上がっていて、臭いは全くない。

いったい、前の住民はどんな生活をしていたのだろう?随分前に女性が一人で住んでいたと、ご近所さんが教えてくれたが、この惨状を見るにつけ信じられなかった。郵便受けに、福井県からの古い納税督促状が何通も溜まっていたのを見て、流浪の民と思われる。

古い桐箪笥や欄間、巨大な和蝋燭の燭台、今ではみる事のない組木の施された引き戸や1mを越える卓袱台が、無造作に物置内に、これまた古い農機具と共に捨てられていた。

買ったことを後悔させられるような現状に、前途多難で終わりの見えないリノベーションが待ち受けていることは容易に想像ができた。

唯一の救いは、栗や柿の樹が生える100坪の南側の庭と、季節ごとに違った花を楽しめる、北側の庭園があることだった。

素人DIYの限界

現状確認が進むにつて、とんでも無いことが分かってきた。なんとこの物件には「下水」が通っていないのだ。以前の住人は、どうやら雨水のラインに生活排水を流していたようで、その先はいわゆる道路わきの側溝になっている。

下流がわのご近所さんいわく、「においがひどいときに、ウチがホースで水を流していた」とのことだ。

建屋から、町の管理する下水道までゆうに20mはある。ユンボでもなければ人力では配管できないし、そもそも上下水道の工事は自治体への許認可の関係があり、勝手に下水道には接続できない。

他にも、生活に必要な電源が全く足りていないし、ブレーカーでなくヒューズ式の引き込みでは危険すぎるし、ガス(プロパン)の配管に至っては錆びついて使い物にならないのだ。

はやくも、素人DIYの限界が露呈した形だ。

知人と打ち合わせをし、できるだけリノベーションの費用を押さえたい意向は汲むが、電気・ガス・上下水道のライフラインは、プロに任せることで納得してもらった。

リノベーションの中でも、経費が掛かるのが解体と廃棄である。この部分をこちらで行って、業者には工事だけをお願いする形にした。

解体作業 【台所・玄関まわり】

解体にあたっては、次のことを念頭に工事を進めていった。

  • 採光や通気を考え、耐力壁以外は全て撤去する
  • 吊天井は全て撤去し、未製材の武骨な小屋梁と高さを生かした船底天上にする
  • 床、壁、天井は全て断熱材で覆う下処理を行う
  • 床下は、解体と防蟻処理を同時に行う
  • 古材は今では手に入らないので、適宜再利用する

この家の基礎は古い建物に見られるように、礎石の上に束柱を立てる方式だが、なぜが台所だけは布基礎になっている。ご覧のとおり床下には通気口もなく、これでは湿気があがってくるのは当然だ。

奥に朽ちた風呂の湯沸かし部分が見えている。

床材は今のベニヤと違って接着剤が悪いせいか、とにかく薄く細かく剥がれるようにバラバラになる。おかげで、後片付けが大変だった。

台所の天井には、難燃素材のものが使われいるが、とにかく綿のように飛散し皮膚に着くとチクチクする厄介なものだった。古いものだけに、アスベスト含有が心配だ。

天井を全て撤去すると、今の家では見られない未製材の小屋梁が出現。これは貴重なため、このままデザインとして取り入れリノベーションすることに決める。

日本の古い家屋は軒下換気なので、天井をはがすと写真のように外の光が入ってくる。ということは、ハチや鳥、その他いろんなものも自由に入れるということ。実際に、スズメバチの巣や、鳥の巣、コウモリのミイラ化した死骸なども見つかった・・・解体中になんど悲鳴が聞こえたか(^^;

次回に続く・・・・

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