岩ケ谷・ジェンガフォール 長峰山中の奇岩

意外な事に、突き出た岩はどれもしっかりとしており、全く安心して体重を預けることができた。

続いてすぐの二俣地点も右俣に進む。左俣も少し気になるところだ。

進んで、黒くぬめった滝がお目見え。jyunntarouさんがブラックフォールと命名した滝だ。季節のせいなのか、滝口のあたりが明るく開放的に見えるので行ってみることにする。

ただ写真では見えないが、流芯は右斜めに流れテーパー状に細くなってる。始めのガリー状のところから取付いたが、先ほどと違い岩質は脆くホールド&スタンスに気を遣う。

さらに登ると、思っていたよりも上部が狭くハング気味になっていたので、ザックが挟まって抜けるのに難儀した。

何とか中段まで抜けることができた。休憩がてら登ってきたところを撮影。もう服は苔くさくドロドロ。

見上げると、トップはスラブ状になっているのでこれ以上は無理と判断。木の生えた右の壁をよじ登ることにする。

滝口よりのぞき込みますが、スラブの先はスパッと切れ落ちているので滝の全容が分からない。ましてやこれからの季節はもっと樹が茂って見えにくくなる。

やはり、先人の案内の通り滝の左から巻きあがったほうがよかったのかもしれない。ただし、空身なら直登はもう少し楽に行けると思う。

今回は、たまたま上手くいっただけで、自身の状況判断の甘さを反省した。

体力的にもきつくなり、「ジェンガフォールまだか?」と独り言をつぶやく始末。なんとなく二俣を右に進むも、傾斜がつき土砂が多くなってきたので尾根に抜けると判断、一旦戻る。

再び、左俣に移り谷を詰めていく。すでに水はなく、倒木と岩を越えていく。

すると、突然岩壁が立ちふさがり谷が終わった。見上げると、方体状の岩がかぶさるように突き出ていて、岩の表面を湿らす程度ですが水が流れてる。

岩に沿って右に視線を向けると、「おお!まさにジェンガやん」と思わず声が出てしまった。これが自然の造形物とは、にわかに信じがたい直線美の滝だ。

太古にピラミッドを作った人が、このジェンガフォールを建造したかのようにも思えてしまう。

まずは、この場所を世に知らしめた長峰大好きさんに敬意を表したいと思う。

本当に、どれか岩を引っこ抜くと崩れそうな造形。大雨の降った後にこの滝を見てみたい衝動にかられる。

感動とはうらはらに、なれない沢登り&滝登りを行ったせいか疲れが出始めている。左岸の基部を登ろうと思うも、素直に先ほどの右俣へトラバース気味に向う。

途中、控え目なマーキングがあった。設置主はおのずと想像できる。ありがとうございます。

左岸のこんな岩塊も、相手にしないとなればいい景色の一つ。土砂の詰まった谷へ合流してからは上を目指すばかりの展開。地形図から第四鉄塔辺りに詰め上がるようだ。

なんとも古そうな、大きな碍子が埋まっていた。5kgありそうなもので、掘り出して木の根っこにひっかけておいた。

そうこうしているうちに、梢の向こうに鉄塔が見えてきた。いよいよ今回の探索も終わりを迎える。

なんとか達成した満足感にひたりながら小休止し、ハチノス谷西尾根を下ることにする。

途中、至る所で見ることができたアオダモに、ホッとさせられた。

興奮した精神には、送電線すら協奏曲の五線譜に見えて妙に感心する始末。初夏の陽気がまぶしい。

ようやく一周して、杣谷道に合流する。行程はたった3キロほどだが、とても濃い内容で大満足の山行となった。

東谷渡渉地点の黄色い花が目を楽しませてくれていた。


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