有馬 滑滝の滑滝

有馬 滑滝の奥にある黒滑滝

~序盤の滑滝は前座、本番は黒光りする黒滑~

※この山行は、2023年7月30日の記録です。

以前、J先生から「滑滝のさらに奥に、もっと面白い滑滝があるから行って見るといい」と、言われてから随分と時間が経ってしまった。

2月に滑滝を詰めた際、堰堤前の左俣にこの滝があるのをチラ見しているが、冬ということもあって渓相も明るく、さほど傾斜のない滑滝と軽くみていた。※以降、この滝を「黒滑滝」と表現します。

2月に撮影した写真からも、そんなに難易度が高いようには思えないが、実は目の錯覚でとてもいやらしい滝身だった。

前座の滑滝を登る

本日の山行の距離自体は短いので、のんびりと9時30分有馬駅をスタート。駅前のゆけむり広場の噴水の水がとまってからずいぶん経つ。太閤さんと有馬川をはさんで見つめあうねね様もさびしそう。カッパ像は・・まぁいいか。

開店準備に忙しい土産物店、まだこの時間は観光客もいなく閑散としている。

有馬川沿いとのんびり歩き、ロープウェイ乗り場に到着。ここから、完全開通した紅葉谷を抜けて行く。この辺りの地質は風化が進み、難工事だったのが伺える。

途中の工事が終わった治山ダムの様子。この類の造形は、いつまでも見ていられる。一見すると同じダムのようでも「治山」と「砂防」では、その目的がちがうのも興味深い。

紅葉谷道を進み、炭屋道との合流地点を過ぎ、道なりに進むと白石谷の左岸に乗る。滑滝にはこの砂防ダム標識の裏から降りていく。

降りると今度は、右岸を進みダムの湖面をへつるように、滑滝の谷へと向かっていく。

谷を少し進むと、滑滝がお目見えする。滑滝は逆層の三段構成で、倒木のかかっている部分が一段目になる。一段目は、こう見えてもフリクションが抜群にいいので、安心して登っていける。

二段目は3mほどの小滝。一段目と打って変わって二段目の風化はひどい。逆層に従って、ガバっと剥離する。写真右手の凸型の岩は、滝身中段にあったもので、手をかけ体重を乗せた瞬間崩落した。まぁ、滑落しても下は広い水叩きなので、一段目下部までは落ちない。

三段目は、角度のある斜爆だが問題なく登っていける。

今までは、ここまでが滑滝と思っていたが、実はこの先にラスボス的な黒滑滝が控えている。

三段目を過ぎて遡行を続けると、まずはスラブ滝がお目見えする。こちらも、フリクション良好なのでお好きなところからどうぞ。その先は、樋状の小滝が見えてくる。ここはホールドが無いのでフットジャムの要領でクリア。前方に、目印の堰堤が見えている。

ラスボス 黒滑滝へ

堰堤前を左俣に進むと、すぐにラスボスの黒滑滝が見えてくる。冬にチラ見した時と違って、ずいぶん雰囲気が違って見える。黒滑滝に一瞬日が射したので、滝身は見えたが黒光りしているのが不気味だった。

黒滑滝について見上げると結構な角度で、その上途中から角度が変わっていて先の様子が全く分からない。水は岩肌を濡らす程度で、全体にぬめりがあるのが分かる。見えている部分の高さは12mくらいか。

立てかかる倒木に支点を作ろうと考えたが、その先で詰まると洒落にならない。左岸もボロボロで、結局思案した結果右岸を登り、トップロープで登ることにした。

その右岸からの巻きも結構大変で、滝口にでるまでに20分近くを要した。

巻いて正解だったのが、滝口近くに支点となる木が無く、結局30mロープをほぼ使い切った。懸垂下降でルートを確認し、アッセンダーをセットして登っていく。

倒木の上まで登ってくると、岩肌が赤黒くなり、ぬめりが増してくる。ちょうどこの辺りで左岸にスイッチできるので、岩の崩落に気を付けながら登っていく。

黒滑滝は、雨が降るとまた難易度が変わるのだろうけど、滝身をフリーで登れないこともない印象だった。ただ、初見でこのぬめった滝は、やはりトップロープが正解だろう。

黒滑滝の先は、普通の谷筋で、すぐに小さな谷止めがある。谷止めの先は猛烈な藪状態で、魚屋道につめあがるまでこんな状態ではたまらない。なので、あっさりと右岸の尾根のって、このルートから脱出を図ることにする。

尾根にのってすぐ、松の切り株にチェーンスパイクが掛かっていた。きっと、黒滑滝を登った御仁が落とされたのだろう。なんとなく親近感を感じてしまった。

この辺りの松は、ご覧の通り松脂を取るために無残な掻き傷がのこっている。大戦末期の燃料調達のために苦肉の策で行ったものだ。資源の乏しい日本ならではだ。

地形図からは分かりづらいが、結構なやせ尾根が続く。しかし、踏み跡は明瞭で、いまでも多くの人が歩いているような感じだ。尾根尻から20分ほど、這い上がるように登っていると突然魚屋道に飛び出した。

たまたま、下山中のハイカーとばったり遭遇しかなり驚かれた。御仁いわくイノシシが登って来たかと思ったそうな。まぁ、たしかに脱出地点を見れば、ここに道があるなんて思わないだろう。

途中の東屋で、装備を乾かしながら遅めの昼食をとる。のんびり下って、いつもの銀泉でサッパリして本日の山行は終了です。

合計距離: 6.6 km
最高点の標高: 704 m
最低点の標高: 358 m
累積標高(上り): 718 m
累積標高(下り): -674 m
総所要時間: 05:18:02
Download file: 20230730_滑滝.gpx

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