六甲全山縦走

【六甲全山縦走 初参加で雨との激闘】2015.11.08

登山を初めて日が浅いのにどうせやるならと、いきなり高い目標を掲げて六甲全山縦走への参加を決めたのが春先のこと。

夏ぐらいから、分割ハイクやナイトハイクをしながらトレーニングを重ねた。

そして本番当日、阪急六甲の始発電車に向かう時点であいにくの雨。ホームについても、参加者らしい姿はなく不安がよぎる。高速神戸駅で、阪神線が合流してようやく縦走の雰囲気が整った。

須磨浦公園に付いても、雨また雨・・・最初のチェックポイントまでに体が冷えてしまった。

ようやく最初のスタンプを押してもらい、長い戦いが始まったかに思えたがお腹の弱いロッコペリ、すぐにトイレへ駆け込む羽目に落ち込む。

後は、宝塚のゴールまで時に激しく降る雨と、ぬかるんだ足元に気力と体力を試される激闘の縦走となった。


合羽を着たまま、阪急六甲にて始発の電車を待つ。こちらのホームには誰もいない。向かいのホームにハイカーが2名のみで、本当に伝統の縦走大会があるのか不安になる。ひょっとして、雨で大会が中止になったのでは等々、あれこれいらぬ考えが頭をよぎる。

高速神戸にて、阪神線の合流でようやく大会が実施される事の実感を得る。話をするものも無く、静かな緊張感がホームに流れている。

駅に着いてから、スタートのスタンプをもらうまでにも雨脚がひどくなってきた。バチバチと合羽を叩く雨音が気持ちを萎えさせる「何やってるんだろう・・」

さてと気合を入れたとたん、腹がゆるむ。混雑するトイレを待って、合羽に手を焼きながら出すものを出す。そして再び「帰ろうかな・・」との弱気がでる。

少し渋滞しながら最初のピーク「旗振山」へ到着。ここでも雨脚は強いまま。縦走に何度も参加されている方が「こんなにひどい縦走は初めてだ。中止にすべきでは?」と話されていた。

うっすらと夜が明けてきたが、空はどんよりと雨雲が垂れ込めている。

縦走名物の渋滞を経験する。400段階段の上の方まで色とりどり点が続く。雨は小康状態。こういう時いつも思う事がある「渋滞の先頭って何してるのかな?」って。

ようやく須磨アルプスへ。途中の栂尾山から鎖場までの渋滞では、横殴りの寒風にさらされすっかり体が冷えてしまった。市街地に入ったらペースをあげ、体温を上げよう。

得意の高取山の登りと、鵯越までの市街地の登りは良いペースで歩くことが出来た。鵯越駅で小休止しようと思ったけど、座る場所が無いので先に進む。

雨の菊水山・鍋蓋山を通過し太龍寺山門へ到着。山門で休憩しようと思ったが、考えることはみな同じ。やはりここも座る場所は無し。

「暖かい豚汁ご用意していま~す。一杯350円で~す」と、女児のかわいい声におじさんたちは吸い込まれていった。翌年分かる事だが、この山門で大量のリタイアを出している。ある意味、彼女は縦走のセイレーンか。

進んで桜茶屋も同様に休憩場所は無く、補給もままならないまま掬星台を目指す。

稲妻坂で初めてのハンガーノック(シャリバテ)を経験する。突然起こった体の異変は、精神と肉体の両方をむしばんだ。泥だらけの樹の根に倒れ込み「もうどうでもいいや」と自暴自棄になる自分がいた。

降りしきる雨のなか、ザックが開いて濡れるのも気にせず、おにぎりを1つ食べながら目の前を必死に通り過ぎる参加者をただ眺めるだけだった。

15分ほどぼうっと座っていただろうか、荷をまとめようと立ち上がると力が戻っているのが分かった。カッパの両ポケットに、残りのおにぎりをねじ込んで掬星台を目指した。

着いた掬星台はご覧の通り、泥の地獄と化していた。応援に来てくれた知人いわく「みんな落ち武者のようだった」と。

勝手が分からず眺めていると、おじさんがどうぞとホッとレモンを差し出してくれた。五臓六腑に染み渡るとはまさにこの事、本当に美味しい飲み物だった。

「空の容器に入れたげる」とペットボトルに熱々のホットレモンを頂いた。予備のタオルでぐるぐる巻きにして、長く楽しめるよう保温する事にした。

知人とはゴルフ場までご一緒することに。途中、縦走名物の甘酒が供されていた。おじさんの豪快な呼び込みの勢いで、手に取ってみたものの、実は甘酒を飲むのは人生で2度目の小学生以来。

余り気は進まないが、折角なので一口飲むと甘酒の概念がくつがえるくらいの旨さ。お代わりを勧められたので、遠慮なく頂いた。心も体もあったまったので、後半戦への気力は十分だ。

この後、濡れた手ではスマホが反応せず写真は撮っていない。

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