木ノ袋谷Ⅾ1右岸ルンゼを詰め・608へ
~光の降りそそぐ美しいルンゼは岩くずの巣でもあった~
2018年6月3日
最近は地形図の谷を眺めることが多くなり、前回木ノ袋谷へ行ったのでこの辺りを順番に歩いてみようと思った次第。
先人たちの情報も参考にしながらの山行だが、見ると行くとでは大違い。急斜面を前に、「こんなとこどうやって登ったのか?」と、行くか戻るか思案六法。
先人たちのクライミング技術に感心しながら、未熟ゆえ怖さが先にたちルンゼ1本で満腹な始末。結果バリルート初心者にとっては、今日も技術的に課題の多い山行となった。
梅雨前の爽やかな青空の元、阪急六甲をスタート。護国神社では、清掃奉仕作業中の間を縫って安全祈願をすます。杣谷道登山口にて、新品の地下足袋で足拵えを済まし木ノ袋谷へ向かっていく。
入山すぐに”カンガルーの樹”を撮影するのはルーチンワーク。摩耶第三堰堤手前の滝口の徒渉地点には、オトシブミが沢山落ちていた。偶然通りがかりおじさんと撮影大会になってしまった。
水辺の樹には、うどんのようなヒモワタカイガラムシという昆虫の卵嚢があった。なかには一杯卵が入っており、生まれる赤ちゃんは0.5mmほど。生物は色々な方法で、子孫を残すという不思議に感動した。
この季節は、歩いているだけでコアジサイのいい香りが漂ってくる。初夏の摩耶山は素敵が一杯だ。
摩耶第三堰堤を越え、杣谷川徒渉地点の左俣から木ノ袋谷が入ってくる。緊張のまま進んで行く。
Ⅾ1を左岸から越え、堰堤内に降り立つとすぐにお目当てのルンゼが右岸に見えた。しかし、途中まで登ってみたがどうやら違うようだ。見上げると手がかりも無く詰まりそうなので、早めにクライムダウンする。
河原まで降りず、そのままもう少し北へトラバースする。見えてる小リッジを越えると目的のルンゼに出会った。
堰堤工事の残置物と思われる、ドラム缶や薬缶がお目見えした。今となってはこれらも立派な目印になっている。
厄介な倒木を抜けると、ガレが始まる。一旦傾斜がゆるくなり、廃タイヤが転がるあたりから前方が開け谷が明るくなる。
その先、弱い二俣地点に到着。一見明るい左俣に進みそうになるが、コンパスは右俣をさしている。
ヌメヌメと少量の水が流れ滑りやすい枯滝にやってきた。しかし、木ノ袋本谷と違って光がしっかり入るので、苔の上に生える一葉もみずみずしく輝いている。
その先の斜度のある枯滝は、幸いにも倒木が足掛かりになってくれたので問題なくクリアできた。
登った先には、写真のような薄紫色の可愛い花が沢山咲いていた。後日知人の庭師に確認をとると、やや湿った林内を植生とする「シソバタツナミ」と教えて頂いた。
ルンゼのはずなのに、なんともいい感じの光が樹間から降り注ぎ、ホッとさせる雰囲気がある。とは言え、辺りは不安定な巨石がゴロゴロと転がっており、いつ落石を起こしても不思議ではない。鉛直静荷重で慎重に進む。
振り返ると落石にえぐられた杉の樹が立っおり、光あふれるこの谷の荒々しさを垣間見ることができる。
さらにその先には、堰堤工事でワイヤーが残置されたままの無残な杉の木があった。現在では、ワイヤーを巻く際には、樹木の保護が施されるからこのようなことは起きない。
急登の先にスカイラインが見えた。最後は泥と落ち葉の壁だが、意外にも踏み固めやすくステップを作りながら登っていける。
寒谷北尾根合流まであと少しの所で、更に斜度が上がり四つ這いでの登攀を強いられる。気を抜けば滑落必至。
斜面を這い上がると、地形図の標高点「・608」にピッタリ到着。ルーファンをやっていて、ピタリと位置が決まると嬉しいものだ。その後は、摩耶の石舞台を目指しハイキングモードで進んで行く。
ロッコペリは、入浴中に出会うのが嫌でジャグジー方面に出たことは一度もない。いつもジャグジー下の分岐をトラバースし、最後までルーファンを楽しみ石舞台につめ上がるようにしている。
季節もいいので、昼を過ぎても掬星台は混雑していた。遠足だろうか、体操服を着た学生さん達も元気一杯に走り回っていた。
下山前に、初夏の神戸の様子を見ておく。ロープウェイは、この時間でも上り下りともいっぱいだ。
今日は、膝にはくるが高速下山ができる山寺尾根を使って下山する。下山後の汗は、もちろんふじ温泉でしっかりと流していく。
最高点の標高: 697 m
最低点の標高: 59 m
累積標高(上り): 761 m
累積標高(下り): -766 m
総所要時間: 06:06:55
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