苔のルンゼ三期へ

苔のルンゼ三期

木ノ袋谷苔のルンゼ整備 三期へ突入?!

~梅雨入りを前に苔のルンゼ復活を楽しみにしていた矢先の出来事だった~

2022年6月5日

竣工したはずの苔のルンゼの整備、梅雨を前に苔の復活を心待ちにしていた矢先の5月某日、長峰さんから驚愕の連絡が入った。

なんと、2月に巨大な倒木の幹を切り落とす作業をしたときの、根っこの部分が局地的豪雨でルンゼに崩落していると言うではないか。木ノ袋谷探索中だった長峰さんからの写真を見るまでは、にわかに信じられない内容だった。

「自然との闘いは、こうも過酷な物とは・・・。」

目算では最大直径50cm、長さは4mで推定重量は400㎏と、過去最大級の倒木になる。事前に打ち合わせをし、持てる道具は全て投入し、4倍力のプーリーシステムで一気に片を付けることにした。

結果としては、目標を達成し撤去は成功した。今回は、本谷へ巨大な倒木を下ろすまでの顛末記となる。


送られてきた写真には、まさに2月に懸垂状態で苦労して切断した木口を、ルンゼ下流側に向けて横たわる大木があった。根を切り落とすと、ルンゼにはまり込んでしまうので、なんとか引き落とす形で下ろしたい。

400kgの倒木をそのままでは起こすことが出来ないので、イメージのように2分割にし、別々に処理することにした。

8時に護国神社に集合。「重量を分担しよう」と、長峰さんが重いスタティックロープ(20m×2本)を持ってくれた。ロッコペリにとっては、3㎏近く軽量化になるが逆に長峰さんにとっては負荷になる。

それだけ、お互い今日の作業には決意をもって臨んでいるが、とにかく歩荷状態で進まない。流れ落ちる汗にあえぎながら、なんとか木ノ袋谷に出会いにやって来た。ここから更に、4つの堰堤越えが待っている。

現地入り後、プーリーシステムをセットし長峰さんの提案で、一度このまま起こしてみる事になった。もし成功すれば、この後の作業が格段に減るからだ。

試し引きの結果は、全くびくともしなかった。次いで、頭をさげるべく先端から50cmカットしてみるが、これは出来るだけ倒木を立てたいためだ。

ロープは、ハーネスにアッセンダーを取付けて懸垂下降のように引いている。とてもじゃないが、腕だけでは体力がもたない。

2回目の試し引きも惨敗。結局、事前に試案していた2分割で作業することになった。これは、倒木全体の重量が減ったのもあるが、上手い具合に反転させることが出来た。ただここからは、プーリーシステムのアンカーになる場所がない。

根っこの噛みこみ具合で、次のけん引方向を決めていく。

けん引するには、素直にルンゼに沿って行いたいが、河原の岩石ではアンカーにはならなかった。そこで長峰さんが、本谷左岸の足場の悪い急斜面を登り、7mほど上の立ち木にアンカーロープを設置してくれた。これで、2人がもってきたロープは全て使い切った。

退避路を確保し、渾身の力で引くと「メリメリ」と、音を立てながら倒木が立ち上がり、そして反転して落ちてきた。会心の出来だった。

喜んだのもつかの間、何という偶然か・・・。倒木の尖端が、大事にしていたカラビナを直撃し、ゲートの横方向から変形させているではないか。当然、スリングはつけたままでだ。しばし呆然としてしまった。

気を取り直し、長峰さんからスリングをお借りし、さらに倒木を本谷へ転がしていく。もうここまでくれば作業は簡単。予定通りの場所に下ろすことが出来た。

今回一日で想定していた整備作業を、時間通りに達成できたのは、互いの密な連携のなせる業と自負している。長峰さんも「これで考えずに夜が眠れる」と満足の様子。

あとは、時期を見て倒木の処理とルンゼの堆積物を撤去すれば、今度こそ整備がひと段落着くと思う。もうこれ以上の大木の流入が無いことを期待したい。

※毎度毎度で、読者の方には「またか!」と、思われたと思う。そんなわけで、もう場所もお分かりと思うので、今回は地図などは割愛させて頂く。

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