杣谷川の支谷

杣谷川支谷

杣谷川の支谷を詰め木ノ袋谷北尾根へ

~見た目は変哲もないナメ滝だが、手足が乏しく終始緊張を強いられる難滝だった~

2022年5月5日

杣谷川の支谷にあるナメ滝。今回訪れたのは、苔のルンゼへの重量物運搬の好適路になるかの確認がメイン。加えて、事故後に、すっかり臆病になってしまったメンタルの再強化への挑戦でもある。

見た目は何の変哲もないナメ滝に見えたが、斜度もそこそこあり高さも全体で20mほどある。登り始めてすぐに、手足が乏しく苦労する羽目になった。

当然、こんな滝を重量物を担いで登れるわけもなく、なんだか気持ちが切れてしまったので、木ノ袋谷北尾根に出てからは逃げるようにアゴニー坂へと向かった。いわば今回は、敗退の記録になる。


連休中日だから人出は少ないと高を括っていたら、JR・阪急とも結構な人出だった。当然、杣谷道登山口も沢山のハイカーが一休みしていた。初夏を思わす気温で、一気に汗が噴き出してくる。

いつものように、カンガルー君に挨拶をして杣谷道を進んで行く。

連休前のまとまった雨のおかげで、杣谷川もまずまずの水量。無名の滝もいい感じに流れている。今日目指すナメ滝は、杣谷の主(杣谷の巨人とも)の先、道が右にカーブする地点から取付いていく。

杣谷道入ってすぐにこの滝身に出会う。杣谷川を遡行していて、間違ってこの滝へ進んで大変な思いをされた方も多いようだ。滝に近づいて見上げると、意外にも斜度がある。その上、途中でロープなどを取付けるところもなさそうだ。

足元は、先日丹生山で初投入したハイパーVを履いている。ただし、防滑性の高いゴム底とは言え、苔だと滑るものは滑る。ワラジのような安心感は、まだこいつには持てていない。

取付いてすぐ、このナメ滝の手足の乏しさに緊張の連続を味わうことになる。途中に棚があったので、休憩がてら上の落ち口の様子を観察する。

棚からはさらに斜度が増し、5mほど上で緩くなっている。足の置き場を間違え、滑落すれば一番下まで滑落は必至。無駄な気休めと分かっていても、頭上の細い若木にバックアップを取った。

斜度が緩んださらに10mほど先に、今にも落ちそうな大岩が止まっている。

滝に取付いて大岩まで、なんと30分以上も掛かっているではないか!いかに恐怖と戦っていたのかがよくわかる。恐怖に打ち勝つには、何度も挑戦するしか道はないのは知っている。

大岩から先は、どこをどう登っても木ノ袋谷北尾根に出るので、とにかくがむしゃらに登っていく。20分くらいもがくと、岩クズと落ち葉の詰まったガリー状の壁についた。

そして、右手の岩に手を掛けた瞬間、この大岩がわずかにずり落ちたのには肝を冷やした。風化して、いつ落石が起きても不思議ではない。複数人で行く場合は、特に注意を払いたい地点だ。

木ノ袋谷北尾根に合流してすぐ、木ノ袋谷Ⅾ4上流に降りる谷筋に到着する。ここは、何度が登ってきているので下の様子は知っている。予定ではここを下って、苔のルンゼに行く予定だったが、すでに気持ちは切れているので、すごすごと掬星台へ向かうことにする。

正面の立方体の石は、何年か前にこの谷を上がって来たロッコペリが、体重を掛けた瞬間に崩落したもの。柔道の出足払いという技にかかったかのように、見事に半回転し頭を強打した地点だ。

めんどくさがりが幸いして、ヘルメットをかぶったままだったので、大きなケガは免れた。以来、安全な一般路に出るまではヘルメットを着用するようにしている。

ロープ場を過ぎればピークまではすぐの所。後は、アゴニー坂まで10分ほどのアルバイトだ。アゴニー坂まであと少しと言うところで、初老の男1・女5のパーティーがやって来た。

道を譲りながら「お気を付けて」と、声を掛けると「この道は何度も通って知ってる!」と、不満げな返事が男から返って来た。女性陣の前だから強がるのか・・下らない。

アゴニー坂を上っていく途中も、多くのパーティーとすれ違った。

お昼時の掬星台は、観光客やハイカーで結構な人出で、もちろん座れるところは満員御礼な状態。たまたま、東屋の一角が空いたのでお一人様ならと、割り込ませてもらった。

華やかな雰囲気の中で、全身泥だらけだと奇異の目で見られるが、もう慣れてしまった。のんびりと過ごしている間に、皆さん出立され東屋も静かになった。

昼食後は、予定していた摩耶東谷からの下山もやめ、山寺尾根を下ることにする。ゆっくり下る予定だったが、同年代のトレラン男にあおられる始末。ザックが重いので、すぐに避けることができなかったのはこちらの落ち度だが、べた付けでくっつかなくてもよかろうに。

敗退の不完全燃焼もあってか、妙にスイッチが入ってしまった。男をパスさせたあと、一定間隔をあけて追いかけてみることに・・。

男は身軽なので、下りや水平路ではさすがに見えなくなるが、なぜが露岩や足場の悪い所で追いついてしまう。よく観察すると、足さばきがとても悪いのだ。おかげで、登山口まで最速30分ちょっとで降りてこられた。

登山口手前でアゴニー坂で会ったパーティーに再会、最後尾のサブリーダーと少し会話して互いに労をねぎらった。

合計距離: 10.49 km
最高点の標高: 710 m
最低点の標高: 51 m
累積標高(上り): 1074 m
累積標高(下り): -1061 m
総所要時間: 05:04:57
Download file: 20220505_木ノ袋谷北尾根枝沢.gpx

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