木ノ袋谷 険しい峡谷で人を寄せ付けない

ルンゼは、ガレに変化し岩クズの川床を遡行する。もちろん水流はない。

続いて、ナメ状の滝に出会う。表面はコケが生えていて滑りやすいが、堆積した落ち葉を枝ではらうと微妙なくぼみになっていた。

つまり、くぼみに落ち葉が溜まっていただけ。このくぼみをステップとして利用すれば難なく登ることができた。

このルートで初めての二俣。谷のハッキリしている左俣で遡行続ける。

寒谷第一堰堤の北ルンゼにも、これとよく似た木があったような気がする。もちろん腰かけて座り心地を愉しむ。自然の造形はいつも不思議で面白い。

落ち葉の堆積した谷の傾斜がきつくなってきた。スカイラインは見えないが、いよいよ詰め部が近いことが分かる。

ズルズルとよじ登り、程なく詰め上がる。向うに木ノ袋谷北尾根のコルが見える。

振り返り撮影。上から見るとやはり急傾斜。ここをピストンして木ノ袋谷へ戻ろうとも思ったが、時間が無いのと取付きの滝の処理が面倒なのでこのままアゴニー坂へ向かう事にする。

岩頭から第四堰堤へのうまい降り口が見つかれば連絡ルートでも使えそう。

コルのすぐ先は、木ノ袋谷北尾根ルート唯一のロープ場。と言っても、ここには別にロープは要らないと思うのだけどね。

手前の石は、元は奥中央の左となりに埋まっていた。左足に、重心を乗せきったところでいきなり崩れた。柔道の「出足払い」という技をかけられたように、一瞬で体が半回転した。

左スネを強打し、後頭部を中央の石でしたたかに打ち付けたが、ヘルメットが守ってくれた。

コルに詰め上がり、慣れたルートに出たのでヘルメットを脱ごうかと思ったが、アゴニー坂までは我慢とかぶっていたのが奏功した。これも気のゆるみが原因、大いに反省!。

背中は、ザックがクッションとなり無傷で助かった。

松の生える丸く開けたピークを過ぎれば、笹薮を抜け10分でアゴニー坂に出る。

途中色々なトレースがついているが、アゴニー坂手前のピークの南斜面をトレース気味に進むのがこのルートの特徴。ハンバーガー岩を右から巻けば、ゴールはすぐそこ。

アゴニー坂を通行する人を驚かせないように、静かに出会う。ひとつには、どこから来たのかと色々とルートを尋ねる方もいて、説明するのも面倒なので手前で待つことが多い。

さて、掬星台の東屋にて遅めの昼食。先週、収納から発掘した30年物の道具達を再デビューさせた。スキットルのスコッチはチョコレートと一緒に口を湿らす程度に頂く。

ハクキンカイロはポケットなどの密閉された所で効果を発揮するので、このように開放すると一気に触媒の反応熱が放熱して役に立たない。しかしポケットにもどせは、たちまち熱くなる。

オプティマス8Rのガスストーブは予熱が必要なのと、カロリーがガスに比べると弱いので、いつもより倍の時間がかかってお湯が沸いた。これはこれで、蒸気機関車のように爺さん頑張れ!って感じでのんびりと時間を楽しめた。


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