摩耶東谷右俣

摩耶東谷右俣~摩耶東谷

~第二堰堤右岸ルンゼをつめてみる~

2021年2月14日

過去に数回訪れた摩耶東谷右俣。ラストの山寺尾根への脱出口がとても大変なルートだ。今回は、二つ目の堰堤の先、本流とも思える立派なルンゼへの探索を行った。

目の錯覚で、下からみると結構な斜度でもなんとかなるような気がしてしまう。

特に、土砂の堆積した急斜面は、足を踏み込んだだけで周囲の土砂がザーッと流れてしまい質が悪い。近くに樹があれば、その土砂の中にも手掛かりの根を求めることができる。

反省点として、取付きで装備を準備しなかったこと。なんとなく登り始めて、途中からこのルンゼの険悪さに気づきながらもフリーで上がり、詰まってからバタバタしてしまった。

こう言ったルートの下山後には、筋トレの必要性をいつも感じるのだが、やらない自分がなんとも情けない。


春を通り越して初夏のような陽気。山麓線で知人の庭師夫婦と遭遇、引っ越しの段取りだそうだ。昨年の6月、シイノトモシビダケ&夜行性昆虫観察に行って以来の出会いだったのでしばし話し込んでしまった。

摩耶東谷を進んで見返り滝まで来たが、ここのところの乾季で水量が乏しく川床もぬめっている。水量が多いと、短いながらもいい渓相なので惜しいところ。少し後方には、あまりこのルートに慣れてなさそうな男性3人のパーティーがいる。姿は見えないが声はする。

比較的簡単に秘境感が味わえるので、ここ3年くらいで摩耶東谷もメジャールートに昇格したようだ。

ただ、この手のマーキングが増えたのも事実。「俺はこんなルート知ってるんだぞ」と言わんばかりの承認欲求の塊のような行為はいただけない。過去に芦屋ロックガーデンで騒ぎになったのと同じものと推察する。

他にも見通せる範囲に、おびただしい赤テープが巻かれているマイナールートもある。安全に巻けるルートがあるのに、危険な直登を促す位置にテープがあったりするから困ったものだ。また機会を見て「マーキング」について書いてみたいと思う。

そもそも、地図も見ずに目印だけで歩く危険性についてはここで語るまでもない。丁度ヤマップで神戸市のレスキュー隊が、この界隈の危険性を指摘しているのでリンクを貼っておく。

良かれと思った行為が、遭難を助長しているとは言えないだろか。いずれにせよ、「山を汚すな」だ。

見返り滝から、深谷第二砂防ダムを巻いていく。今は水が無いので、鉄製階段を使わずそのまま堰堤内に下っていく。事故があったとは聞いてないが、去年に転落防止柵が設けられた。

堰堤上部は広河原になっている。右俣へは北西に進路を取っていく。取付きいきなりで、岩がゴロゴロしている。

東谷ルートは広河原を西に少し進み南進するのが正解。先ほどの三人組はルートをロストしたらしく右往左往している。しばらくして声が聞こえなくなったので、無事に復帰したのだろう。

ここで、小休止しヘルメットだけ装着しておく。

最初の堰堤(Ⅾ1)は左岸より巻いていく。階段状に巻いていけるからとても楽でいい。残置ロープに頼るほどでもない。

引き続きゴーロを登っていく。すぐに次の堰堤(Ⅾ2)が見えている。今にも落ちそうな巨石があるのが特徴。下から見るとさほどでもないが、実は軽自動車くらいある。この岩を見るたび、どんな力が作用してここに存在するのか気になってしまう。

堰堤内の岩くずを進んですぐの二俣。目的のルンゼはこの左俣。一見すると、こちらが本流に思えるが右俣の堰堤(Ⅾ3)がある方が正解。

このルンゼ、ここから見ても熊手を逆さにしたように、上部でたくさんの分岐が見えている。とりあえず10mほど上の、インゼル右手に向かって登ってみる。

三歩登って二歩ずり落ちる展開。この時点では、恐怖を感じるほどの斜度ではないが手掛かりがない。滑落すればすべり台状態で、振り出しにもどることになる。

見上げると急に斜度が立ってきた。堆積した土砂と枯葉の上に倒木があって、掴みどころがない。とりあえず、中央にみえる岩塊目指して登っていく。

ズルズルと、立ち木までなかなかたどり着けないが、左手にマメヅタで覆われた岩壁の位置まできた。

立ち木につかまり岩塊中央をよじ登る。明るく日が差し込む岩壁の上部を見ると、棚になっているようで、あちらにルートどりをすればよかったかも。

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