4月度の山仕事

筍掘りと花山椒摘み

~貴重な花山椒を収穫するのと、竹林の風景を維持するのは大変な作業だ~

2021年4月18日

4月度の山仕事は、VillaS/ヴィラエッセの森ではなく、知人の知り合いが所有する竹林の整備から始まる。竹林の整備と言っても筍掘りのことだが、実はここにも高齢化問題を抱えていることを初めて知った。

竹はスペースが空いたところへ地下茎を伸ばし繁殖する性質を持っている。その旺盛な繫殖力と生命力は、1日で1mも伸び、1年で根を8m以上も広げることから、他の樹木や畑を侵食してしまう。

手入れされなくなった竹林

写真は、ロッコペリの地元の竹林の様子を写したものだ。広大な竹林は山を侵食し、荒れていく様子がよく分かる。

竹は「切ることが植えること」とされ、定期的に古竹を間引きスペースを作ることで竹の子の出がよくなり、竹林自体が広がらず周りの森林への侵食も防ぐことが出来るようになる。

しかし、現在は竹の利用が減り、手入れをする人の高齢化も進み手がまわらない状況だ。結果、各地で荒れた竹林の問題が起きていることを今回は知ることとなった。

森を育てるという事は、こういったことも知っておく必要があるのだ。

とはいえ、筍掘りは楽しい。労力に見合っただけの収穫が約束されているからだ。その上、竹林の筍は全部採っても構わないとの依頼なので、俄然やる気が出てくる。伸びすぎたものは蹴倒して繁殖を食い止めておく。

午前中の筍掘りの後は、花山椒摘みや栗を植える予定の場所を整地していく。


筍掘りに夢中になってしまい、作業中の写真はない。途中雨に降られながらも、とりあえず2時間ほどの作業で、30cm~45cmくらいの筍が結構な量を収穫できた。

手分けして泥を洗い流し、下ごしらえのために次々と処理を進めていく。

筍の下処理

下手なイラストで申し訳ないが、下処理はこんな感じ。

  1. 泥を洗い流したあと3~4枚、適当に外皮を向いておく。
  2. 先端を斜めに切り落とす。
  3. イボイボの部分は根になる所なので固くて食用には向かない。あらかじめそぎ落としておく。
  4. 中まで火が通るように、真ん中付近まで包丁を入れておく。半分に切ってもいいが、あとでヌカが詰まって面倒になる。
  5. 鍋に筍いれひたひたに水を張る。アクを抜くためヌカと鷹の爪を適宜入れ落し蓋をし煮ていてく。重曹の方が手間はかからないが、色や味が悪くなるのであまりお勧めはしない。
  6. 沸騰したら吹きこぼれないよう弱火にして、約1時間ほど煮ていく。根元に竹ぐしが通ったらOK。煮上がったら自然に冷まし、余分な外皮を向いて水洗いし、必要な大きさに切り分ける。後は、ジップロックなどに水とともにいれ密閉、冷蔵保存する。

花山椒の収穫期間は、花が開ききるまでの4日ほどと一瞬。余り採れないので超貴重品だ。棘だらけの山椒の樹と格闘すること1時間、小さな花をザル一杯に摘むことができた。

春先から初夏にかけての山椒は、葉・花・実・樹皮すべてが食べられ捨てるところが無い。つくだ煮にすると、ごはんやお酒のアテにはピッタリだ。

花山椒摘みを終えると昼食をとり更に場所を変える。すでに切り倒された桐(キリ)の転がるエリアの整備にはいる(写真はアフター状態)。後日、残った根をユンボで掘り出し開墾。ここには栗の樹を植える予定で、3~4年後の収穫を目指す。

昼食は、知人のお母さんが用意してくれていた。赤飯に加え、1日前に下処理をすませた筍で、色々と作ってくれていた。中華風メンマ、花山椒たっぷりの若竹煮、味・香り・粘りも最高な自然薯に似たヤマノイモのつみれ汁など野趣あふれる献立で春を満喫できた。

お母さんいわく、「昼からの重労働に備えて・・」とは、なかなかユニークな物言いだ。もちろん食べた分はしっかりと働かせていただいた。

収穫したものは、あっという間に姿を変えていく。ビン詰めやパック詰め、花山椒はつくだ煮に、炊き込みご飯用にと、まるで売り物のようだった。

次回は、3月に仕込んだ榾木(ほだぎ)の立てかけ作業が待っている。他にも、栗林へのアプローチも整備しなくてはいけないので、初夏に向かって体力をつけておかねばと思う。

阪急電車で帰宅の途中、岡本あたりの車窓からダブルの虹が鮮やかに見えていた。一人が虹に気づき、スマホで写真を撮りだすと、つられて数人が同じように撮っていた。

六甲について歩道橋の上から見ると、1本になっていたが、澄んだ空にとても綺麗な虹が掛かっていた。心地よい肉体疲労とともに、スッキリとした気分を味わうことができたのは、今日一日のご褒美なんだろうと思う。

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