倒木で荒れやすい摩耶東谷の整備
~枯死した倒木が細い登山道を塞ぎ、流れをせき止めることが多くなってきた~
2021年9月26日
山行で摩耶東谷ルートを選択するときには、通常の装備以外に手鋸や鉈などの整備道具も持っていくようにしている。
特に下流部の、深谷堰堤から深谷第三堰堤までの谷沿いの登山道は、斜面から滑落してきた倒木が通行の邪魔をすることが多い。加えて、蔓に絡みつかれた倒木が頭上でぶら下がっているのは、危険の何物でもない。
事実、軽く引っ張るだけで倒木が崩れ落ちることが結構ある。今回も出たとこ勝負で、終了時間だけを決めての整備となった。
特に沢の中で倒木が土砂をせき止め、逃げ場を失った水流が正規のルートを水没させている地点は、水路の浚渫(しゅんせつ)と水流の復元を行った。
いつも整備の協力をしてくれる知人と阪急六甲で待ち合わせし、あれこれ雑談しながら30分で杣谷道登山口へやって来た。阪急六甲にいた何組かのパーティーも後方から上がってきている。
暑いと言っても空気はさわやか、登山者が増えるといよいよ秋の登山シーズンが到来したのを感じる。
杣谷道を進んでしばらくすると摩耶東谷の徒渉地点に差し掛かる。摩耶東谷へは徒渉後右手に進み、小さく巻き上がった所にある桜の樹の手前を左手に進んで行く。
この徒渉地点を杣谷と間違い、左に進んで迷うハイカーも多い。3年ほど前にTokiwaさんが神戸市に標柱の位置を修正してもらうよう要望したが、いまだ実現されていない。
進むと、すぐに深谷第一堰堤を越えていく。ここは数年前に大規模な清掃を行ったが、しばらくは元に戻りつつあった。
摩耶東谷~山寺尾根西尾根ルートで、不法投棄(猫の餌やり)を何十年も行っていたのが仙人さんと呼ばれる御仁と分かった時はショックだった。
しかし、長い付き合いもあるので彼の良心に訴えかけるように、有志がボランティアでルートの整備をしていること、定期的にゴミの回収を行っていることなど、雑談の形をとって話をする機会が最近何度かあった。
仙人さんは、今まで整備のすべてを行政が行っていると思っていたようだが、神妙な面持ちで終始話を聞いてくれた。それ以降、仙人さんに出会った方からは、いつもゴミを大量に抱えて歩いているとの話を聞くようになった。
今日も、両手一杯のゴミ袋をもっていた。自分のしたことを顧みて行動を改めたなら、それ以上は何も言わずにおこうと思う。
掬星台の餌やりおばさんが1ヶ月半も入院していたこと、自分も糖尿病を患っていることなど、いつものように淡々と話をしてくれた。
知人が変な蛇がいると茂みを指さすので見てみると、たしかに今まで見たことのないハイブリッドな蛇がいた。
落ち着いて観察すると、頭部はシマヘビなので幼蛇から成蛇への脱皮の最中であることが分かった。とても貴重な光景に出くわすことができて得をした気分だった。
枯死した大木がつる植物に絡まって垂れ下がっている。いつ落ちるか分からないトンネルは撤去しておく。
ここ数年「カシノナガキクイムシ」によるナラ枯れの被害は、増大の報告がなされている。特徴は、写真のように樹の根に切りくずのような木の粉が落ちているのですぐに分かる。枯死した樹は、少しの風でいとも簡単に倒壊してしまうのでかなり危険だ。
兵庫県でもキクイムシの駆除とナラ枯れ予防のための情報収集を行っているのでHPを参照されたい。
山を見ると、紅葉でもないのに枯れている樹々が目立つようになった。それらはキクイムシの被害を受けた樹ということがよくわかる。
左岸⇔右岸の徒渉地点。樹が茂ったせいなのか流木のせいなのか分からないが、少し荒れているように思える。
見返り滝の手前、左岸の倒木が土石をせき止め右岸のコンクリ登山道が水没している。深いところで5cmくらいだが、浮石が多くなかなか足場が悪い。
今日はスコップなどは持ってきていないが、手作業で何とかなると思い水路の修復を行うことにする、
簡易ダム 川床を浚渫 左岸の水路を復元
まずは倒木を撤去し、せき止めていた土石を取り除いていく。水流が復元したら、広がった川床を浚渫(しゅんせつ)し水位を下げておく。こうすることで水勢がつき土砂が溜まりにくくなる。
念のためと、簡易ダムを作るころにはコンクリ登山道は露出し乾いてきていた。
深谷第二堰堤下の「見返り滝」の釜にも砂が溜まり白くなっていた。左岸のコンクリ階段の土砂も、気になる部分は整備しておいた。
途中、前回は気が付かなかったサルトリイバラが繁茂して登山道にはみ出ていた。棘植物で厄介なので、これも刈り取っておいた。
堰堤内も長いこと水が枯れずに溜まっている。おかげで、カエルが沢山繁殖している。
この夏は雨が特に多かったので、地層のすき間からいまだに湧いているのだろう。山の保水力にはいつも感心されられる。
行者小屋の下、行者滝からの流れを徒渉する地点も、定期的に道が塞がってしまう。これは、谷を挟んだ急傾斜地に大量の倒木があるため。時間とともにずり落ち、倒壊して塞いでしまうのだ。
今回も、四つ這いにならないと通過できなくなっていた。谷側に身を乗り出しての作業は大変だが、できるだけスッキリとさせておきたい。20分ほどの作業で何とか形になった。
本日の作業はここで終了。遅いお昼を摂るために行者小屋の上の展望岩に向かう。
食事をしていると、男女ペアのハイカーが降りてこられた。女性いわく「このルートを通っていて、人に会うのは初めて」だそうだ。
リニューアル
体はさほど疲れていないが、石積みを行ったので腰が少し張っている。少し早いが、たっぷりと汗もかいたので、ふじ温泉(¥380、シャンプー類は無し)にゆったりと浸かることにする。外壁と屋根をリニューアルされたようで、きれいになっていた。
知人が足に合う靴を探していたので、このあと白馬堂さんにお邪魔する。丁寧なフィッティングで、納得の靴が手に入ったようだ。ロッコペリは大粒の栗を買って帰る。
最高点の標高: 346 m
最低点の標高: 63 m
累積標高(上り): 214 m
累積標高(下り): -338 m
総所要時間: 04:43:08
コメント
整備をありがとうございました。
(^▽^)
摩耶山さん歩さん、こんにちは。
訪問ありがとうございます(^^)
大好きな東谷なので、皆さんにも気持ちよく楽しんで頂ければと思ってます。
例の、コンクリ階段も今は安全に通過できますのでご安心ください。