しばらくは光と紅葉の饗宴を楽しみながら歩いていく。
景色がパッと広がった先には、巨大な西池堰堤がそびえていた。この辺りでこんな景色は期待していなかったので、とても新鮮で寄り道して正解だった。
西池堰堤を右岸から巻いていき、天端より俯瞰してみる。一種の箱庭のような風景でなかなか趣があってよろしい。
堰堤を越えた先で、同行者が「しいたけ」らしきキノコを見つけた。ロッコペリは、キノコ類はまったく分からないが、確かに山仕事で出来るシイタケそっくりだ。倒木も榾木に使われるコナラだ。
加えて同行者は鼻も効く。「確かにシイタケの香りだ」と、言い張るので4つほど収穫して持ち帰る。この野生のシイタケをどうしても食べたいらしい。
野生のシイタケで盛り上がってしまったが、現実に戻ると厳しい巻き道の下りが待っていた。細心の注意を払いながら、軟弱で急な斜面を降りてきた。
途中「しし神」の脚のように、ガッチリと斜面に根を張る不思議な光景に感心してしまった。
堰堤を見上げると、水抜き穴がかなり高い位置まであるので、本体の大きさが際立っている。その2段目の穴から、上流ではほとんど伏流していた水流が流れ落ちている。おかげですぐ下の小滝はとても綺麗な物だった。
小滝の下流はこんな風景。逆光のおかげもあって、冬とは思えないくらい緑が鮮やかだった。短い距離だが、とても心地のよい渓相だった。
堆砂エリアの先、宇治川第二堰堤の水通しに到着。左岸にのびる天然のロープを伝って天端を巻いていく。下流側も軟斜面のため、かなり気をつかって下っていく。
河原に降り、倒木を越えると立派な石積みの歩道が右岸に延びていた。堰堤工事でこの谷が閉鎖されるまでは、恐らく七三峠から極楽谷への通行路だったのだろう。
その証拠に大正から昭和にかけての古地図にはしっかりと道が見て取れる。また、今は西池堰堤に名が残るように「西池」らしきものも確認できる。二本松林道はまだ存在しない。そして、ロッコペリが脇道にそれたあたりから、北東に破線路が伸び「鯰学舎」や「はなれ家」に続いている。
この辺りの様子は、来年にでもじっくり探索してみようと思う。
大師道まですぐ 振り返り撮影
進んで5分ほどで、大師道への合流地点に到着する。左岸の壁面はややハングしていて、岩質もしっかりとしているので、意外にクライミング練習には面白いかも。高さは8mほど。
後は、のんびりと下っていくだけ。茶店や寺院の廃墟群を抜ける辺りが、大師道でもお気に入りの撮影ポイント。逆光の透過光が、年中通していい雰囲気を醸し出してくれる。諏訪山第二砂防堰堤の紅葉もグラデーションが美しかった。
諏訪山児童公園の横、花と緑のまち推進センターでは菊花展が催されていた。信号待ちをしている間に、スナップ撮影を楽しむ。
下山後、同行者のお供で好日山荘にいく事に。ロッコペリは神戸に住んで15年になるが、実は一度も行ったことがなかった。
店内では、はやりのファッションを完璧に身にまとった登山者たちが品定め中だった。それとは程遠い身なりのロッコペリにとって、どうにもこういったお店は苦手で居心地が悪い。早々に、店外で同行者を待つことにした。
その後、コロナ禍で行くことすらできなかった「ミュンヘン」で反省会を行う。2年ぶりの再会の味を、心ゆくまで楽しんだのは言うまでもない。
野生のシイタケ
さて、持ち帰った野生のシイタケ。調べると、似ている毒キノコにブナに生えるツキヨタケがあることが分かった。生え方や、裂いた時の状態などを見るとどれも当てはまらなかった。
まず1つをスライスし、バター醤油炒めにしてみる。毒見は、2切ほどよく噛んで舌下に5分ほどおいておく。しびれや嘔吐、頭痛など違和感が無かったので、そのまま飲み込んで半日ほど様子をみてみた。
翌日になっても体調の変化はなかったので野生のシイタケと断定、残り全てを同様に調理した。結果として市販品にはない、濃厚な味と香りのシイタケを楽しむことが出来た。
最高点の標高: 347 m
最低点の標高: 45 m
累積標高(上り): 520 m
累積標高(下り): -497 m
総所要時間: 04:51:07
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