三ツ下谷

石楠花山の三ツ下谷から天狗岩

~マイナールートならではの小気味の良い遡行が楽しめる~

2021年7月25日

知人より「雨後で水量も期待できる三ツ下谷へご一緒しませんか?」とのお誘いに、二つ返事で参加することにした。

ロッコペリにとって六甲山の北エリアは全くの未開のエリア、今年初の本格的な沢遊びに、いやが上にも期待してしまう。

何より本流に入ってからの水質の良さは特筆すべきもので、沢登り特有のコケ臭さや生臭さが無いのがいい。三ツ下谷は石楠花山を源にする谷だが、堰堤が全くないのがその理由らしい。


新鉄谷上駅にて待ち合わせ中、ザックにスズメ蛾の一種コスズメが飛来した。昆虫嫌いの方は目を背けてしまう姿だが、昆虫好きにはたまらない。その美しいフォルムに見とれてしまい、何枚も写真を撮ってしまった。

駅を西に進むと、山田道方面への案内が詳しく出ている。森林植物園まで50分とあるが、そんなに近いのかと改めて地図をみると確かにそうだった。北区は遠い・・勝手な思い込みを反省した。

振り返ると、2年前の柏尾谷で遊んだことを思い出す。今年も行けるといいなぁ。

道なりに進んですぐ、山田道から少しだけ寄り道して丸山堰堤を見に行く。通常の堰堤なら興味もないが、この建築美なら寄り道したかいがある。

銘版を見ると工事期間中に、太平洋戦争の開戦(昭和15年)があったのが分かる。当時の建設作業員は、どんな気持ちで仕事にあたっていたのだろうか。工事も内務省(絶大な権力組織、戦後GHQにより解体)発注となれば、時代的に色々大変だったのだろう・・などと想像しながら進んで行く。

堰堤を越えてもすぐに遡行には入らず、山田道をそのまま進み右岸を少し巻いていく。巻いた先には、渡りやすいように、徒渉ブロックが設置してあった。さらに道なりに進んで、古い道標で山田道とはお別れ。「行き止まり」の方向に進んで行く。

ここは、小倉台からの流れと丸山谷の二俣地点。2つの谷を徒渉して、丸山谷の右岸をジグザグに髙巻いていく。

10分ほどで名所?の斜め橋に到着、ここで入渓準備を行う。先日の梵天滝へ行った際に投入した、最新型ワラジの一部改良したものを本日は装着。準備後Hさんを先頭に進んで行くが、ここはまだ丸山谷との事。

早速3m小滝登場。Hさんいわく、この渓流を遡るため早めに入渓したとのこと。へそ下の釜を進み、オンサイトでの挑戦。

滝口のチョックストーンのどちらに進路をとるかで、明暗が分かれる面白い地点だ。Hさん、わざとだと思うが手も足もなく挟まってしまい、引きずり上げられるのは可笑しかった。

足慣らしを済ませて小滝を進むと、下水谷と三ツ下谷との二俣地点に到着。いよいよ本来の目的の谷へ進入していく。その前に、丸山上流堰堤を左岸より巻く必要があるが、プラ階段の段差が歩幅に合わずはしごを登っているようで地味に疲れてしまう。

堰堤を越えるとかなり水質が良くなり、秘境感を味わいながら連続する小滝を楽しんでいく。苔によるぬめりはあるが、水質の悪い沢特有の臭さはなく気持ちよく遡行が楽しめる。

本日最初の課題のF1に到着。4mほどの滝だが下半分はハングしており、フット&ホールドどこにもない。安全のため、高巻きしてトップロープをセットすることに。

小滝で簡単そうなのにいやらしかったが、攻略すべくここで1時間も遊んでしまった。まあ、このメンバーのこの緩さがいいのだろう、おかげで全員クリアできた。

ミニゴルジュや、やや深い釜を持つ小滝を抜けた先、高さ5mのF2に到着。

三ツ下谷の滝は高さと難易度が全く比例しない。Hさんが支点作るまでに右岸別ラインを・・と、調子にのった結果グランドフォール。肘と膝をしこたま強打した。

女性陣はロープで安全確保して無事クリア。おとなしく支点構築まで待てばよかったと、痛む膝を押さえる。

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