リノベーション奮闘記②
~現在進行形で続く、古民家再生への挑戦~
和式の建物は、細かく部屋割りがされていて、大きく使いたいときには建具を片付けてワンルーム的にと融通が利くようになっている。ただ現代の生活スタイルでは、LDは広く取るのが主流で、知人も広く住みたいとの要望だった。
平屋ということもあり、風通しや採光の面で可能な限りの壁や梁を撤去し、広々とした空間に仕上げることに主軸を置いてリノベーションを進めることにした。
居住区の解体・・そして造り込み
中央のくぼみは、先住民が薪ストーブを置いていたようで、床の間のところにストーブを置くための分厚い鉄板が放置してあった。リノベーションでは、知人も同様に薪ストーブを設置する予定。
居住導線が段差だらけなので、全室フルフラットにしたかったが台所の天上高さが取れないため、台所の床面に玄関と薪ストーブの部屋の高さを合わすことにした。リビングとの段差が20cmほど出来てしまうが、薪ストーブ置き場との切り替えが出来て、これはこれでいいということになった。
壁の下地には全て小舞竹が使用されている。これが非常に強固な作りで、耐力壁としての機能も十分に備えているのがよくわかった。解体時には、大工さんの仕事ぶりがつぶさに観察できるので、とても勉強になる。
部屋を圧迫する天井は全て撤去し、船底天井にする予定で解体を進めていく。天井の吊木や吊鴨居など片っ端から解体していく。
和室を隔てている、黒くくすんだ壁も撤去する。なぜかこの部屋の壁だけ、土壁の上のモルタルが薄く塗ってあるので解体に手間取った。これだけで、風通しと採光がが良くなるのが分かる。
玄関周りと、風呂場周りを解体していく。風呂場はコンクリで固められているので、ハツリ機を借りてきて砕いていく。
どうしても、ガス、上下水道、電気関係は許認可の関係で素人では手が出せない。業者が入るにしても、解体が住んでいればそれだけ費用が浮いてくるので、可能な限り処理しておく。
天井は全て撤去。古い小屋梁の古木が姿を現し、いい感じの雰囲気にモチベーションも上がってくる。
とにかく解体は、粉塵とその廃材の仕分けとの闘いが続く。何週間もこんなことをやっていると、本当に住める日が来るのかとさえ思ってしまう。先の見えない作業は辛いものだが、小屋梁を活かした天井を想像するとなんとか頑張れるものだ。
壁、天井ときたら次は床に取り掛かる。4部屋の和室のうち3部屋をフローリングにする予定だが、とにかくすべての床をはがし、基礎から見直しをかけていく。
床をめくって、予想していたとはいえ相当ひどい状況だった。多くをシロアリにやられスポンジのようにスカスカになった束柱や大引きなど、心が折れそうになった。
プロのようにすべてを撤去し、一からやり直しをしたかったが、そこまで大規模な修繕は出来ない。幸い、シロアリはいないようなので、一本ずつ叩いて木材の状況を確認し、ダメな部分だけを交換していく方法で作業を進めた。解体時に取っておいた古材がここで役に立った。
気休め程度だが防蟻処理の塗料を、ふんだんに塗っておいた。後は家の周りに防蟻用の薬剤を埋設していく。
天井や壁に断熱用にグラスウールをすき間なく貼り付け、その上に下地のコンパネを取付けていく。天井が高くなり、古木の小屋梁を活かすデザインのため、コンパネの取り付けには相当な労力が必要になった。二人がかりで、一人がコンパネを支え、一人がビスうちと言う作業を延々と続けるのだ。
天井と壁の一部は、9mm厚のフローリング用の無垢の杉板を貼っていく。同時に、壁は漆喰で仕上げていく。漆喰仕上げで驚いたのが、塗ったとたんに古民家臭が全くしなくなったのと、調湿の働きのせいか部屋の空気感がガラリと変わって快適になったことだ。
特に、作業のために締め切った家に入った時の、あの古臭い匂いが全くしなくなったのには、ビックリだった。日本の建物に、漆喰が古来より使われるのがよくわかった。
歩くたびに踏み抜きそうな縁側も、床下からやり直した。当初は、古い縁側の上に床材だけ張っていく簡単なカバー工法で行う予定だったが、せっかくここまで仕上げたのだからと、断熱材も入れて一から仕上げた。
天井と壁の断熱&下地処理が終わったので、いよいよ床貼りの作業に移っていく。この家は京間(本間)のため、6畳でもかなり広くなる。
電動タッカーを買えば隠し釘も楽に打てるが、お値段が結構高いのと、この作業が終わればまず使うことは無いだろうとの判断で、地味に手作業で貼っていく事にした。床材は12mmの無垢の杉板を使用。部屋中に杉のいい香りが漂い、同時に部屋が明るくなっていくのに、知人の作業にも熱が入っていく。
ロッコペリは、先に完成した台所の床と薪ストーブを置く床の高さだしを進めていく。重量のある薪ストーブを設置するので基礎もしっかりと作りこんでいく。
そして、リビングへの上がり口に、新たに框(かまち)を廃材利用で造作していく。これでぐっと部屋らしくなるはずだ。
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