現在のホッチキスと違って、半丸で段差間がまちまちのステップを慎重に下っていく。銘版はさすがに歴史を感じる。
帝釈堰堤はアーチ式。両岸の岩盤を支えにして造られた堰堤で、重力式に比べてコンクリートの量が少なくて経済的とのこと。
神戸の黒四ダムと言われるように、とても立派で趣がある。四季を通じてたのしめそうだ。
対岸に渡り、ここからはイヤガ谷東尾根に至る枝尾根のバリルートを楽しむ。棘植物には注意。等高線がゆるむと、鉄塔兵庫線18が見えてきた。
鉄塔まで来るとイヤガ谷東尾根はあと少しだが、六甲山系あるあるの笹やぶを漕いでいく。背丈を越えるやぶの中では、方向を見失わないよう常にコンパスを確認する。
イヤガ谷東尾根に乗ると、君影ロックガーデンまでは快適なハイキング。草いちごが沢山生っていたのでほおばりながら進んで行く。ほんのりとした甘みにほっこりする。
君影ロックガーデン到着。すでに岩場は夏の太陽で焼かれ、暑くてたまらない。昼休憩のために木陰を探す。
一番の見晴らし場所は、消し炭が散乱し、無残にも焚火の後で真っ黒こげの惨状。消火するほどの水は持ってきてないはず、種火が風にあおられて山火事にでもなったらどうするのだろう。
丹生山でも、4畳半くらいの範囲を焦がした跡が見つかっている。浅薄なソロキャンプブームのおかげで、後先考えない馬鹿が増えた。
昼食後は、3候補の中から南東に延びる尾根筋を選択、どんぐり広場に向かって下山する。残念なことにこのルートは、これでもかの赤テープやキラキラテープだらけで興ざめだった。
どんぐり広場にでて下山口を振り返る。広場と言っても、一部巨大なパイプの資材置き場になっている。
そばの看板を見ると雨が降ると「水没」するから逃げろとある。その時は、きっと相当な雨量なんだろうけど注意しておこう。この後「水没注意、逃げろ」の看板を至る所で見かけることになる。
下山後は、のんびりと旧道をあるいて石井ダムに向かう。当然ここも満水時には水面の下だ。渇水のおかげで、石井ダムを裏からしっかりと見物できたのはよかった。
当然、次への課題も忘れてはいない。透明度の高い水が流れ落ちる滝を確認している。その先はいい雰囲気のルンゼが、イヤガ谷東尾根へ向かっている。
要塞のような石井ダムを下っていく。以前見た豪快な放水はない。周辺では羽化したテングチョウの大群が乱舞している。そして、コンクリから染み出るミネラルを吸水しに集まっている。誰が教えるわけでもないのに、自然の仕組みはすごいと思う。
ダム下で、はやりの路上飲みに興じるおじさんおばさん達(ハイカー)を横目に、鵯越駅までの短い区間で昆虫観察を行う。ロッコペリは個人的に、路上飲みは賛成のほう。来た時よりきれいに、そして静かに飲めばなんら問題ない。
まずはキアシドクガが目にはいった。毒もないのにドクガの名はいただけない。
続いて羽を開くと、美しい瑠璃色の帯のあるルリタテハ。ネットでは色んなアングルでの写真はあるが、後姿はお目にかからない。一見すると新種のゾウムシにも見えてくるから面白い。
大好きな蜘蛛の中でも特に好きなハエトリグモ。この蜘蛛は、かわいいアシブトハエトリ。15mmほどと大型。深緑色の目に映りこむ空の雲が良い感じなので、是非拡大してみて欲しい。
ダラダラ撮影しながら、ようやく鵯越駅まで戻ってきた。そばの公園にいたカナヘビも、落ち葉に同化して動かない。
初夏の変化にとんだ山行に気分も上々、これで三宮あたりで店飲みが出来れば最高なんだけど。今しばらくは我慢しよう。
最高点の標高: 374 m
最低点の標高: 103 m
累積標高(上り): 426 m
累積標高(下り): -476 m
総所要時間: 05:14:38
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