青谷東尾根エリアにある水晶山
~古老たちが語る水晶採取の記憶から、場所特定のために第一回目の踏査を行う~
2021年4月25日
六甲山系のほとんどが花崗岩でできている。いわゆる御影石と呼ばれるもので、主成分が石英と長石と有色鉱物となっている。
花崗岩マグマが冷えて固まるときに、ペグマタイト鉱床となり一部で晶洞(ガマ)を生成する。水晶は、そのガマで石英成分が結晶化したものだ。詳細は鉱物マニアに譲るとして、水晶採集はこのペグマからいかにガマを探すかにかかっている。
六甲山系には「水晶」の名を冠する地名や山名があり、それ以外にも青谷、芦屋、住吉、灘、御影などで水晶採集が行われたことが分かっている。中でも青谷周辺は、多くの古老たちが自慢げに採集の話をされるので気になっていたエリアの一つだ。
ただ、古老たちの話は小学生の頃とかなり古く、どのあたりかと聞くと皆覚えていないとの返事。せいぜい絞り込んで、青谷東尾根の周辺という事だけが分かりあとは実際に踏査するしかなかった。
今回は第一回目の踏査という事もあり、場所などの詳細は省かせていただきたいと思う。
人間、楽を覚えるとなかなか抜け出すことが出来ない。阪急六甲から神戸高校まで、歩いて来られる距離をまたバスで来てしまった。目指す青谷東第二尾根は正面に見えている。
これから目指す「水晶山」は、山域を表すものではなく、かなり狭いピンポイントの地点を指している。キーワードは「露頭」。
取付きは、摩耶霊園から階段上がってすぐ、ベンチのあるところから。初めは急登だが、すぐに尾根に乗ることができる。4年前に来た時には、謎の打ちっぱなしがあったが今は見る影もない。振り返ると初夏の街並みが見えていた。
途中、等高線が開けルートが分かりにくいところがあるが、適当に方角を決め尾根筋を目指せば迷うことはない。鉄塔手前で左より青谷東尾根が合流してくる。いつも思うのだが、この狭い空域に空港は3つも要らないかな。
この鉄塔からの景色は、灘から大阪湾をぐるっと見渡せるので気に入っている。おひとり様用の階段を上った鉄塔の先には、黙って出されるとかぶりつきそうなキノコが生えていた。
一旦P480付近まで登り、青谷東第三尾根を下っていく。青空に映える鉄塔もいい感じだ。第三尾根から関電巡視路の水平路に入り、観音寺谷(小屋ノ谷)へ下っていく。丁度、三等基準点とロープがある地点。
観音寺谷左俣(小屋ノ谷)の一番大きい滝の滝口に立つ。以前、懸垂下降して登り返した滝。この後、観音寺谷を登った下ったり、石英脈を探してさまよい続ける。
調査する場所によっては、黒雲母が大量にあったり、いわゆるガマ粘土と呼ばれる場所があったりと変化があり期待値が上がる。
約6時間程かけて、かなり大きめの石英脈を発見したが、ガマ(晶洞)を見つけることはできなかった。地味な作業の結果、ズリ付近から不完全ながらクリアな水晶1個、濁った水晶片を数個見つけることが出来た。鉱物マニアにしてみれば、なんの価値もないクズ水晶。
ただ、六甲山系での産出量は極めて少なく、現物を写した記録も見当たらないので、こんなものでもロッコペリは素直にうれしい。古老たちの言い伝えは本当だった。
下山は関電巡視路を虹の駅方向に進み、ルーファン無しで適当な尾根筋を下っていくことにする。
降り立った先に見覚えのある廃墟が見えてきた。「あじさい園」と呼ばれたものだ。中をのぞくと朽ちてはいるが、なんとなく今でも人の気配があるのはなぜだろう。
楽生公園を抜け、五鬼城展望所でドロドロの身なりをきれいにする。展望所からは上野道に抜け、いつものフジ温泉に向かうことにする。
この第一回目の踏査では、次回の課題を見つけることもでき、物証も出たこともあり大収穫だったと言える。
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