木ノ袋谷・苔のルンゼ第二期整備始動
~第二期は枯死した大木群を予防的に撤去する作業から始める~
2022年1月16日
昨年来より長峰大好きさんと整備を行ってきた、木ノ袋大滝の上流にある「苔のルンゼ(私称)」。
昨年末で、ルンゼ本体の第一期整備は竣工した。今回からは第二期として、ルンゼ右岸に垂れ下がる枯死した大木を、予め崩落予防として整備していく事になった。
作業は、尾根の壁にぶら下がる形で枯死している大木群の撤去なので、今までとは全く違う技量が求められる。簡単に言うと、懸垂下降もしくは空中懸垂からの、直径30cmほどの木を切り落とすということになる。
今回からは作業の難易度から、電動チェーンソーを現場に担ぎ上げ、安全かつ時間効率を上げて対応することにした。
年初の整備にあたり、いつもお手伝いを頂いている山友さんにも協力頂き、いくつかのトラブルに見舞われたが予想以上の処理が出来たことは感謝申し上げたい。
今日はいつもの整備道具に加え、登攀道具や電動工具やらでいつになく大掛かりになったので、めったに使わない60ℓのザックで入山する。
ほぼ歩荷状態なので、いつも以上にスピードは上がらないし、あっという間に汗が噴き出してくるので摩耶堰堤前でシャツ一枚になる。汗冷えでしばらくは凍えるが、すぐに暑くなるので気にせずに進んで行く。
進んで、杣谷の無名の滝までやって来たが三が日に通った時よりも、更に水量が少なくなっているように思える。摩耶第三堰堤を過ぎると、木ノ袋谷の入り口はすぐ。
やはり重ザックのせいで、いつもより時間がかかっての到着だ。ここで、ヘルメットと同行者のためにロープを準備する。
D1は左岸より越えていく。残置されたトラロープ、使うことはないが痛みがひどくそろそろ限界か。
ミニゴルジュの先、D2は手前から右岸を斜上していく。ミニゴルジュは新しい落石が発生しているので、気温が高くなる日は特に気を付けて通過したい。Ⅾ2天端からはお助けステップで降りていく。
Ⅾ3は右岸からよじ登っていく。今回はルートを描いてみた。天端手前がやせてきているので、通過には気をつかう。
D4は右岸ルンゼの先、上部に見えるおにぎり状の岩(〇印)を目指して登っていく。狭いながらもテーブル状になっていて、2人ほどが立つことが出来る。山友さんにロープでの補助を提案すると、自力で登るとのことで頼もしい。
おにぎり岩から尾根尻に向かって、更に軟斜面の急登を強いられる。ここでも「登りだから」と、ロープは要らないとのこと。登った先には写真のテープマーキングがある。尾根を乗越して苔のルンゼまでは2分ほどの場所。
D4からのこのルートは、木ノ袋大滝→大滝谷F1→大滝谷F2(チョックストーン滝)をまとめて安全に巻くことが出来る好ルートだ。
このルートも、長峰大好きさんが試登を繰り返し、見つけて頂いたものの一つだ。
苔のルンゼは、落ち葉や少量の土砂が堆積していたが、まとまった雨が降ればある程度は綺麗になるだろう。それよりも、ルンゼ右岸の空中に突き出た大木群(〇印)の攻め方を思案する。
電動チェーンソーは約5㎏の30V仕様。エンジン式よりもトルクやスピードは無いが、小音で排気ガスが出ないので今回のような小規模作業には向いていると思う。
今日の作戦は、ルンゼ左岸より巻き上がり、上部をトラバースし右岸尾根尻より倒木の根元まで下って支点構築ののち、切断地点まで懸垂下降で降り作業を行うというもの。
右岸の尾根尻にあがると、なんとも痛々しい堰堤工事の傷跡があった。現在の工法ではこのようなことは、まず行われない。
懸垂下降ののち、チェーンソーで裁断を始めるも初めは順調だったが、木が途中で思わぬ挙動(通常の曲げに加え、捻じりの回転モーメントが働いた)を起こし、チェーンガイドが挟み込まれてしまった。
おかげで懸垂状態のまま、チェーンソーを取り出すのに40分ほどかかってしまう痛恨のミスとなった。
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